迫りくる「才能」のインフレ社会、中年おじさんも他人事じゃないって話
才能のインフレ社会がやってきた
私は自分の仕事がクリエイター系かつ、自宅作業がメインという都合上、寝るとき以外はネットに入り浸りの生活をしています。
そんな中で最近顕著に感じるようになったのが
才能のインフレ社会の到来です。
このインフレというのは、中学生でプロ棋士になり、一気に日本のトップまで駆け上がっている藤井総太さんに代表される、「超天才の若年化」というものではなく、もっと一般人向けの話、「才能の多能力化」といったものを指しています。
- 才能のインフレ社会がやってきた
- 今の30手前は、子供のころからネットに触れられた最初の世代
- クリエイターはなんでもできて当たり前の時代
- ビジネスマンもうかうかしてはいられない?
- 努力しない人間はますます置いていかれる世界
- まずは100人に1人を目指しましょう
今の30手前は、子供のころからネットに触れられた最初の世代
話は少し変わりますが、私は現在28歳。私と同年代の方ならわかると思いますが、小学校のときに流行っていたのは、ゲームボーイやプレステ1。そして、当時から少しずつ広まり始めたオンラインゲームでした。
特別裕福でない家庭にもパソコンが普及し、子供たちがちょうど広い世界に興味を持ち始める頃、比較的自由にネットの情報にアクセスできるようになったのが私たち世代です。
そんな当時の子供たちが大人になり、文化の中心になったとき始まったのが、この才能のインフレ社会です。
クリエイターはなんでもできて当たり前の時代
さて、どんな情報にもアクセスできるようになった当時の子供たちは、自分の興味に応じて色々なことを調べました。絵の描き方を知りたい。楽器の演奏の仕方を知りたい。ゲームの作り方を知りたい。
そうして、知識のある大人に教わるという、それまで当たり前だった段階をすっ飛ばして、勝手に一人で学び、勝手に技術を習得しました。
その結果、音楽で言うなら
楽器は一通り全部扱えます。自分で作詞作曲してミュージックビデオも作れます。あ、絵も自分で用意できます。といったような、複数の才能を開花させるアーティストが数多く出てきたのです。
さらに最近はyoutubeの出現で、自分たちで気軽に動画発信が可能になったことから、「単発ではプロになれるほどではないけれど、複数の才能を持った人」が現れるようになりました。そんな人たちがこぞって参入したyoutuberの世界なんかは、もはや才能の見本市です。
ビジネスマンもうかうかしてはいられない?
ビジネスマンは大丈夫?
「だけど、これは動画投稿者とかアーティストに限った話でしょ? 俺は普通のサラリーマンだから関係ないよ」と笑っている方……私はそういう人こそ危ないと思っています。なぜなら、ビジネスマンの世界には、まだ彼らがギリギリ参入していないだけだから。
クリエイターは20代が主流。一方ビジネスマンは……?
クリエイターの世界では、時代の最先端を作るのはやはり20代の若者です。
どんなに才能があっても、未成年は色々と制約も多いですし、親の方針もありますから、メジャー・マイナー問わず、大きな世界に進出できる絶対数が多くありません。
そんな彼らが親の管理を離れ、自分の才能を思う存分発揮するのが、20歳以降です。ネットの普及も伴って、才能ある人々の作品は一瞬で拡散されますから、クリエイターの世界では20代でその道のトップなんてことは全く珍しくありません。
ビジネス力モンスターたちが管理職に就いたとき……
一方、ビジネスの世界ではどうしても年功序列の壁があります。一部の超実力主義企業や、起業家を除けば、どれだけ才能があっても、下っ端からスタートし、基本的な業務のやり方や、ビジネスマナーを学ばなければなりません。
そういう理由から、サラリーマンにおける20代はまだまだ会社の中で力を発揮することが難しいのです。
しかし、これから先はどうでしょうか。若い頃からどん欲に情報を収集し、様々なマルチスキルを獲得した世代が、会社を率いる実行部隊のリーダーとなっていきます。
さらにこれから入ってくるもう一つ下の世代は、小さい頃からハイスペックパソコンやスマートフォンに触れ、さらに洗練されたネット環境からの情報を得てきた人間たちです。
社会に出て働くことを意識して、より早くから努力を積み上げた彼らにより、近い将来新卒採用の現場では
「この子は英語とフランス語とプログラミングね。こっちの子は起業しながら公認会計士の資格も取ったのかあ……うーん、迷うなあ。いやでもこっちの子も……」
というやりとりが行われることでしょう。
努力しない人間はますます置いていかれる世界
こうして才能のインフレ化が進み、彼らがビジネスの中核を担うようになったとき、なんのスキルもない社歴だけが無駄に長くなった中年おじさんたちには、悲惨な運命が待ち受けているでしょう。
また、逆に若くてもなんの主体性も持たず、ただ生きてきただけの人間は、もっと悲惨です。才能がインフレ化し、複数の能力を持つことが当たり前になった世界では、彼らはスタート地点にすら立てず、無能力おじさんのようにしがみつく場所すら与えられません。
まずは100人に1人を目指しましょう
こんなことにならないためにも、これからの時代はどんなに最低でも何か1つ、できれば2つ以上は人に勝てる能力を身に着けておきましょう。
ひとつひとつが突出している必要はありません。100人に1人。つまり、「学校でちょっと絵がうまい人」くらいのレベルでいいのです。100人に1人の能力が2つあれば、それだけであなたは1万人に1人の人材になれます。
こうなれば、多くの分野で高い能力を持ったビジネスモンスターたちには勝てないまでも、彼らの仕事を支え、自分のスキルを活かした仕事をできるはずです。
そのためにもまずは1年かけて、100人に1人を目指し、もう1年かけて1万人に1人を目指しましょう。残りの人生一生お荷物として後ろ指を刺されながら生きるより、2年頑張って周りの信頼を勝ち取るほうが、はるかにコスパのいい選択です。