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セミリタイア圏内に入ってきたけど、どうしようか迷い中

英語通訳になりたい人が、外国語学部に行くのは微妙じゃない? って話

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通訳・翻訳者になりたいから外国語学部?

「私は将来英語通訳・翻訳家になりたいので、大学は英語学科のある外国語学部に入ろうと思います!」
というのは、高校生ならよくある話だと思います。

ただ、外国語学部卒の私が見聞きしたり、実際に感じたことから考えると、この選択ってちょっと微妙なんじゃないかなあ? と思うわけです。

というわけで今日は、あんまり外国語に詳しくない人が勘違いしがちな、通訳者さんのお話。(ちなみに私は英語専攻ではなかったですし、別に通訳について詳しいわけでもないので話半分で聞いてください)

 

 


通訳には大きく分けて2種類ある

実は「通訳」という仕事は一言でまとめられがちなのですが、逐次通訳同時通訳という2つの種類に分かれます。

これは今回の話の本筋ではないので、さらっと説明しますが、逐次通訳というのはAさんが一通り喋り終わった後、Bさんが通訳する。という伝言ゲームのような形の通訳。

同時通訳はAさんが喋っているのに合わせて、Bさんがそのまま言葉を変えて話す通訳。ほぼ同時に話すのでこちらはタイムラグがほとんどない状態になります。

当然同時通訳のほうが難易度が高く、また通訳者の方曰く、物凄く疲れるので、会議の同時通訳などだと、複数人体制で、何分ずつ交代。と決めてやったりするんだとか。

個人的に逐次通訳は勉強をがんばれば比較的誰でもなれる気がするのですが、同時通訳はある程度才能が関わってくるアスリートのように思っています。


実は語学力と同じくらい専門性が大事

そして、ここからが英語通訳・翻訳家になりたい人が外国語学部を選ぶべきではないと考えている理由の話。

 

実は通訳を仕事にしている人って、どんな内容でも自在に通訳できるわけではありません。

例えば、あなたが工場に行って、研修生に仕事内容を通訳することになったとして


「このノギスで大きさを測って公差範囲内だったら、焼成に回して、あとから表面を研磨するんだよ」


と言われたとします。ここでいちいち「のぎすってなんだ……?」「公差範囲って……?」「ショーセー??」となっていては通訳の仕事なんて務まりませんよね。

一方でこういった場合、英語力があまりなくても、仕事内容を理解している人なら

 

「ノギス! これのことね! これで大きさ計るの! こうやって! で、大きさが大丈夫だったら、次焼くの! 焼いた後表面きれいにするの!!」

と、片言で説明しても内容自体は伝わります。

ここからわかる通り、通訳というのはそもそも母語で知らないことは話せません。さらに、中学高校までで文法事項を一通り学ぶ英語を仕事にする場合、日英通訳者のライバルは日本人全員です。

こうなってくると、「なんの専門性もない英語がちょっとできるだけの通訳」には大した価値はありません。ですから、他の人が知らない英語以外の高度な専門知識をもって、他と差別化を図る必要があるのです。


国語学部では専門性は身につかない

私は同じ外国語学部卒でも、英語系の学科出身ではありません。しかし、英語系の学科にいた他の人の様子を見ていると、やはり授業は英語の文法や会話、そして、英語圏の文化や経済に関する一般的な話。というのが主なようです。

確かにここで(ものすごく)勉強すれば通訳者になるためのスタートラインに立つだけの語学力は身に着けられると思います。しかし、その末に誕生するのは「英語ができて、英語圏文化にも多少の心得があるだけの人」です。

 

これは決して英語系学科をバカにしているわけではありません。
英語系学科は「英語を研究したり、英語圏文化を研究したりする人」を育成するところなので、その趣旨から考えればこの結果はなにも間違っていないからです。

ただ、この場合実務として通訳をするのであれば、なにかしらの専門分野を見つけ、1から勉強しなおす必要があり、通訳者・翻訳者のような仕事に就くにはかえって遠回りな気がするのです。


じゃあ通訳者・翻訳者になるには何をしたらいいの?

ここまで読んでくれた方ならわかることと思いますが、通訳者・翻訳者になって生計を立てることを本気で考えているのであれば、ある程度高度な英語以外の専門性を身につけなければなりません。そのためにはおそらく、外国語学部ではなく理系の工学系学部などに行くのが早道なのかなと思います。

そこで機械などに対する専門知識を身に着け、英語は自分で勉強する。確かに英語力という面では外国語学部出身者には劣るかもしれませんが、工学部出身者が英語の勉強を続けることはできても、外国語学部出身者が工学の勉強を自力ですることは容易ではありません。

また、日本の工場は世界中にありますし、現地の人の教育時には仕事に精通した英語話者が必須です。またマニュアルの翻訳だって必要になり、世界で販売するのならそれ用の説明書も英語で書く必要があります。このことから考えても、高度な機械の知識と英語の知識を併せ持った通訳者・翻訳者にはまだまだ需要があると言えるでしょう。


言語はあくまで話すための道具

これは外国語学部生なら一回は言われたことがあるかと思いますが、言語はそれ自体が重要なのではなく、それを用いて何を話すか、という目的のための道具でしかありません。

ですから英語に限らず他言語を仕事にしたいと思うのであれば、語学力以上に、それを使って何を話すのか、というのをよく心に留めておいてほしいと思います。