ビジネスにおける勘違いしがちな「3つの要素の掛け合わせ」についての話
大したことない3つの能力が大事な時代
先日私はこんな記事を投稿しました。
この内容を簡単に説明すると
「もうすぐ子供のころからネットに触れてきた情報強者の才能お化けたちが、既存の無能社会人たちを根こそぎ滅ぼしに来る」
というものです。
そんな時代が来ても対応できるように、凡人は100人に1人レベルの能力を2つ3つ身に着けておきましょう。とまとめたのですが、このまとめの部分に関してはビジネスの世界でも同じことが言われています。
- 大したことない3つの能力が大事な時代
- ビジネスには3つの要素を掛け合わせることが重要?
- 自分の掛け合わせている3つの要素
- その3つ……ほんとに「3つ」の要素ですか?
- ありふれた3つの要素も比率次第で武器になる?
- 大したことない能力は能力比率で勝負する
- 結局「人と違うこと」が一番大事
ビジネスには3つの要素を掛け合わせることが重要?
知っている方も多いとは思いますが、ビジネスにおいて3つの要素を掛け合わせる、というのは、例えば
・料理サイトを作りたい(料理が得意)
・自分は元自衛官
・趣味はキャンプ
という3つの要素があるなら、この3つを組み合わせて
「自衛隊流、山で現地調達するアウトドア料理!」
みたいなコンテンツを作るということです。
上のものは適当に書いたのですが、こんな形でありふれた「料理サイト」というコンテンツに、自分の経歴や得意なものを組み合わせて、まったく新しいものを作る。それがビジネスにおける3つの要素です。
自分の掛け合わせている3つの要素
さて、ここまではビジネス関連の書籍などでもよく書かれていることですので、もう一歩踏み込んでいきましょう。
ここからは自分のことを例に挙げていきたいのですが、私自身が「仕事をするときに掛け合わせている能力は?」と聞かれたとき、私はとりあえずこう答えると思います。
「シナリオ作成能力・イラストの能力・お金に関する知識や考え方」
つまり、シナリオが書けて、イラストが書けて、お金の稼ぎ方もわかっているという、3つの力を掛け合わせているんです! という意味なのですが、これ実は、上辺だけ捉えてしまうと典型的な勘違い能力者君になってしまいます。
その3つ……ほんとに「3つ」の要素ですか?
シナリオが書けてイラストが書けてお金のことがわかるなんて、すごい!! と思ってくれる方もいるかもしれませんが、勘のいい方ならすぐに気づくはず
「その力、プロマンガ家なら持ってて当然では……?」
そうです、私は正確にはマンガ家とは違いますが仕事の質は同じです。そして、この自慢げに書いた3つの能力はプロとして生計を立てているマンガ家なら持っていて当然の3つの能力なのです。
もう少し一般向けの例を出しますと、営業マンが
「俺の能力は、3つ! まずこの営業力! そして、パソコンによる書類作成能力! そして、どんなことでもきっちり説明できるプレゼンテーション能力だ!!」
とか言ってたら、……いや、それ全部「営業」として最低限の力でしょ……?
君の力、営業力1個じゃん。と思いますよね。これが、勘違い能力者君の典型的なパターンです。
もう一度本質に話を戻すと、3つの能力というのは、それ自体が目的ではなく「3つの能力を掛け合わせて新しいものを作ること」に主眼を置いた考え方です。
ですからこんな風に、ほんとは1つの能力しかないのに3つの能力があるように錯覚してはいけません。
3つの要素・能力はそれぞれが全く違う独立した要素である、というのが前提なのです。
ありふれた3つの要素も比率次第で武器になる?
ここで私のことに話を戻しますと、私は自分の3つの能力を
「シナリオ作成能力・イラストの能力・お金に関する知識や考え方」
としました。しかしこれが、3つに見える風1つの能力というのは先ほど解説した通りです。
それでも、作家として見れば収入面では中堅どころであります。また、以前ツイッターでプチバズリしていた、同年代の人と比べる収入偏差値は99でした。(正確かどうかはわかりません)
なぜ私が、作家としてはありふれた能力しか持っていないのに、まあまあの成功をしているのか。それは、能力比率が他の人たちとは違うからです。
大したことない能力は能力比率で勝負する
では、この能力比率の話に入る前に、普通のマンガ家さんがどういう道筋を辿って、マンガ家になるのか考えてみましょう。おそらく一般的な流れはこうです。
「子供のころから絵が好きで得意だった。マンガ家になりたいと夢見るようになったので話の勉強をし始めた。収入が入るようになってからはお金の勉強も始めた」
つまり、ほとんどのマンガ家さんは「絵」から入って必要に迫られて、シナリオ、お金という流れを辿っているということです。これを能力比率にして考えるとこんな感じ。
絵:70
シナリオ:20
お金:10
実はマンガ家さんの中にも「絵だけでは売れないからシナリオをつけることで商品にしている。でもシナリオは苦手」という人はかなりいます。みなさんがよく読むような超有名マンガ雑誌の連載陣は、絵も話もできる人ばかりなのでピンと来ないかもしれませんが、そういう超天才は世間一般から見ればほんの一握りなのです。
では、私の場合はどうでしょうか? ここではあまり話していないですが、私の経歴に軽く触れると
「大学時代、初めて応募した小説でメジャーデビューしかけるも話がぽしゃる。就職するもすぐ辞めて、ライター業に専念。ライターの限界を知って、お金を稼がないと死ぬという状況に。生活を維持するため絵を練習して、作家になる」
この詳しい話はまたいつかするとして、私の能力はシナリオ→お金→絵という他の人とは随分変わったルートで、得たものになります。能力値の話をすると
シナリオ:50
お金:30
絵:20
という感じ。これだけ見ても、普通のマンガ家さんとは数字の組み合わせが全然違うのがわかります。
そして、子供のころからシナリオを書くのが得意! という人は、絵が得意という人ほどマンガの世界に入ってきません。なぜなら、シナリオに特化している人は「小説家」という別の道を目指すからです。
ここからもわかるように、私は他のマンガ家さんと持っている能力は同じですが、その比率が全然違い、実際の販売でも、シナリオ作成能力を活かした「作品制作の超高回転率」で勝負しているので、普通の作家さんとの差別化ができているのです。
これがありふれた3つの能力で私が他の人と勝負できている理由です。
結局「人と違うこと」が一番大事
ビジネスにおいては3つの能力・要素が大事、と書きましたが、それは「人と違うこと」をするという目的のための手段に過ぎません。逆に言えば、人と違うことができさえすれば、3つの能力というのは必ずしも重要ではなく、突き抜けた1つの能力や、私のようなありふれた能力の「比率」を武器に戦うことができます。
この一番重要なことを理解せずに、闇雲に「3つの能力」だけを追い求めていくと、結局人との差別化ができず、努力が無駄になってしまうこともあります。
あくまで本質は他人との差別化です。
このことを意識して、自分の力を見直してみると、新しいビジネスプランが生まれるかもしれません。